SyntaxHighlighter

2017年10月27日金曜日

Nyagos の拡張 (主に Subversion 用 Lua スクリプト)

Nyagos の拡張 (主に Subversion 用 Lua スクリプト)

前回は Nyagos を tcsh 風に使うようにするための変更についてまとめました。
今回は、それに加えてもう少し Subversion まわりについて拡張してみました。

できること

作成した vcs_info.lua で、以下のことができます。

  • svn ls https://github.com/masamitsu-murase/nyagos.git/trunk/[Tab] のように、 svn で始まる場合に URL のパスに対しても補完することができます。
  • VcsInfo.box_svn_revisions(path) のように呼ぶことで、 C-x C-g の git のリビジョン選択のように、 Subversion のリビジョンを選択することができます。
  • VcsInfo.check_vcs_branch() で、現在のパスが svn, git, hg のいずれかを判別し、返してくれます。
    また、 git, hg の場合はブランチ名を、 svn の場合は親ディレクトリの名前を、二つ目の戻り値として返してくれます。

必要なファイルは nyagos.d/catalog/vcs_info.lua として GitHub に置いてあります。
このファイルを nyagos.d/catalog 以下に置き、 .nyagos でいくつか設定をします。

Subversion の URL の補完

この機能を使うには、 vcs_info.lua.nyagos で use するだけです。
.nyagos の例を見てください。

このスクリプトを使うと、svn で始まるときに限り、後続の URL を補完してくれます。

svn ls コマンドで、リポジトリのディレクトリを見ながら補完するので、環境によってはやや遅いですが、私としてはそれなりに快適に使えています。

また、デフォルトでは直前の補完結果を 10秒間はキャッシュしていますので、連続で Tab を押したときは軽快に動くようになっています。

Subversion のリビジョンの選択

コマンドラインでマージをする際に、マージ対象のリビジョンを手で入力するのは面倒です。
git の場合は、 C-x C-g でログを表示し、ハッシュ値を入力することができますが、これと同じようなことができることを目指しました。

この機能を使う場合、 box.lua のコードを参考に、以下のようなコードを .nyagos に追加する必要があります。

上記のように、 VcsInfo.find_svn_path で現在のコマンドライン入力の中から URL らしきものを探し、 VcsInfo.box_svn_revisions でリビジョンを選択することができます。

git, svn, hg のブランチ名の取得

VcsInfo.check_vcs_branch を呼ぶことで、現在のディレクトリのブランチ名を取得することができます。

以下のようなルールでブランチ名を取得しています。

git, hg
git rev-parse --abbrev-ref HEADhg branch でブランチ名を取得しています。
svn
現在のディレクトリを含むチェックアウトツリーのルートディレクトリを探し、その一つ上のディレクトリ名を取得します。
例えば、http://example.com/trunk をチェックアウトしたディレクトリ以下なら、trunk を返します。
同様に、http://example.com/branches/feature_a をチェックアウトしたディレクトリ以下なら、 feature_a を返します。

私は、この機能を用いて以下のようにプロンプトを表示しています。

このスクリプトだと、以下のようにプロンプトが表示されます。

もちろん、 Subversion のディレクトリ名が日本語を含む場合でも、適切に動作します。

Nyagos は Lua で拡張できるおかげで、割と楽に拡張することができました。

2017年10月1日日曜日

NYAGOS を Windows で tcsh 風に使う

NYAGOS を Windows で tcsh 風に使う

私はこれまで Windows 上で tcsh をシェルとして使っていました。しかし、 RS2 にアップデートしたあたりから、なぜかクラッシュすることが多くなってきたので、代替のシェルを探していました。
パスを Windows 風にも使えることと、慣れてしまった tcsh 風のキーバインドをサポートしていることを条件に、いろいろなシェルを探してみました。

その結果、 tcsh から NYAGOS に変更してみることにしました。
ここでは、 tcsh に似せるために標準の NYAGOS に追加した、いくつかの変更についてまとめます。

NYAGOS とは

NYAGOS は zetamatta さんによって Windows 向けに開発されているシェルです。
本体は Golang で書かれており、 Lua スクリプトで拡張できるように設計されています。
また、日本語にもしっかりと対応されています。

素晴らしいシェルを公開していただき、ありがとうございます。

Windows で使えるシェルとしては、NYAGOS 以外にもたくさんのものがありますが、先に挙げた条件に加え、「Cygwin などの、 Windows ネイティブな環境でないものは使いたくない」、「日本語にきちんと対応しているものがよい」、「Golang を勉強したい」という理由により、 NYAGOS を使おうと思いました。

使い方

必要なファイル類は、 GitHub の私の Fork の tcsh_style のブランチにあります。

公式のリリースに比べ、上記のブランチでは nyagos.d/catalog の下の以下のファイルが追加されています。

case_sensitive_completion.lua

大文字と小文字を区別して補完するためのスクリプトです。

dollar_env.lua

環境変数を $TEMP 形式で (ある程度) 使えるようにするためのスクリプトです。
また、 echo $TEM[Tab] のような場合に、$TEMP と補完もしてくれます。
ただし、 $TEMP/[Tab] で Temp ディレクトリ以下のファイルを補完してくれたりはしません。

emphasize_completion.lua

補完候補の最初の一文字を強調表示するスクリプトです。
例えば、フォルダに fileA.txt, fileB.txt, fileC.txt がある場合、 ls file[Tab] と入力すると、 fileA.txt, fileB.txt, fileC.txt のように、次に入力するべき文字が強調されて表示されます。

tcsh_like_keybind.lua

tcsh の下記のキーバインドを実現します。

Alt+/
現在入力中の単語を、過去の入力データをもとに補完します。
Alt+p, Alt+n
現在入力中のコマンドを、過去の入力コマンドをもとに補完します。
Alt+BackSpace
カーソルより左の単語を一つ消去します。
Alt+d
カーソルより右の単語を一つ消去します。

なお、完全に tcsh と同一な動きをするわけではありませんし、それを目指しているわけでもありません。
日本語には対応しているつもりです。

.nyagos ファイルへの変更

上記の変更を有効にするために、 .nyagos ファイルに下記のような変更をします。

上記のように、末尾で use により先ほどのファイルを読み込みます。これで、それぞれの機能が有効になります。
なお、 dollar_env に関しては、 completion_hook の対応がやや古い状態なので、他のファイルより先に読み込んでおくとよいです。
また、 tcsh_like_keybind に関しては、内部で nyagos.prompt の書き換えを行っているので、 nyagos.prompt よりも後で読み込む必要があります。

これらの変更により、快適に Windows 上で tcsh ライクなシェル操作を実現できました。